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観るの宝箱

ちちの木さん:大銀杏 (常瀧寺)

ちちの木さん:大銀杏 (常瀧寺)
ちちの木さん:大銀杏 (常瀧寺)


【丹波市観光100選】花(桜を除く)と名木部門選定

法道仙人により、養老年間(717〜724)に植えられたとされる、イチョウの木としては日本一長寿の巨木です。

常瀧寺の大イチョウは、今から千三百年余りの昔に、常瀧寺を開創した法道仙人によってお手植えされたと云われています。当時常瀧寺は現在の寺の裏山の中腹にあり、七動伽藍を完備した大きな寺で、修験の寺として栄えていたようです。年代でいうと養老年間(717〜724年)ぐらいであったと思われ、そうしたことを考えると、推定樹齢は千三百年余りということになるが、はっきりしたことは定かではありません。

公孫樹(銀杏)は雄種と雌種があるが、この木は雄種であり、かなり樹勢が強い。

 外見は数十本のイチョウの木が密集して生えているように見えていますが、この木は雄種であり、近くに雌種のイチョウもないので増えることはなく、全くの一本のイチョウの木です。枝から乳のようなコブが垂れて、それが地面に潜り、長い年月をかけて数本の木のようになったもので、全国でもほとんど類がなく、かなり珍しいものです。

 この時代は現在の中国から仏教の伝道のために危険を顧みず、小舟に乗って幾人もの僧が渡来していました。中でも鑑真和上などが有名であるが、おそらくその頃に伝道師が中国から持ち込んだのではないかと推察できます。イチョウの実は栄養価が非常に高く、長い船旅には格好の栄養食であったに違いありません。

 常瀧寺の大イチョウは、明智光秀と地元の豪族である秦氏との戦いで戦火に遭い、堂宇は悉く焼失したと地元の郷土史である丹波志に記録があるが、この大イチョウはその戦火にも耐えて現在に至っています。ただ、いつごろか不明であるが、表面が黒焦げなので雷が落ちたのではないかと思いますが、漁師が獲物を追って火をつけたのではないかという話もあるようです。

 

 ところで、神奈川県にある鶴岡八幡の大イチョウが倒木したというニュースはまだ記憶に新しい。「隠れ銀杏」と呼ばれ、源実朝を暗殺した公暁隠れていた大イチョウであるが、鎌倉時代に人が隠れるぐらいの大木になるには、当時三百年ぐらいの樹齢であったと思われる。そのイチョウを研究している先生の推察で興味深いのは、常瀧寺の大イチョウと遺伝子が全く同じであるということだ。おそらく常瀧寺の大イチョウをもらって挿し木したのではないかという仮説を唱えておられるが、まさに思いもよらぬ話で、千数百年の歴史ロマンは心が躍る。

  

 

その真意はともかくとして、常瀧寺の大イチョウは「乳の木さん」と呼ばれ、乳のように垂れ下がるコブの表皮を煎じて飲むと、乳の出がよくなるということで、乳の出にくい婦人たちの信仰の対象であった。また大正時代には登山道に八体のお地蔵様と大イチョウの前に石造りのお大師様が祀られ、たくさんの方々が参拝された。

  

 幹回りは十一メートル以上もあり、その前に立つだけでその勇姿に圧倒され、不思議な霊気を醸し出している。兵庫県の天然記念物に指定されてはいるが、山中にあるために十分な保護がなく、観光資源としても見放されているのが現状で、それが残念でならない。

常瀧寺 住職 拝


◯樹高  約30メートル

◯幹周り 約11メートル

◯推定樹齢 1300年

◯兵庫県指定天然記念物

◯大イチョウの、巨大な鍾乳石のように垂れ下がっている部位は「気根(乳柱)」と呼ばれる根の一種です。


【アクセス】

常瀧寺から山道へ入る



ちちの木さん案内MAP 

詳しくは joryuji-icho を検索


  • 住所
    〒 兵庫県丹波市青垣町大名草481(常瀧寺)
  • 営業時間
    登山道は24時間開かれておりますが、日没後は危険ですので立入らないようにしてください。
  • WEB/SNS
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